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京都のプロが教える!断熱と気密の関係について

2021年11月30日|カテゴリー「スタッフブログ
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皆さまこんにちは。

株式会社棲み家の増田です。

 

 日ごろから断熱が気密がと口うるさく言う私ですが、

今更ながら初心に立ち戻って「断熱」「気密」について改めて考えてみました。

 

 余談ですが、そもそもこのようなことを改めて考えるきっかけになったのは、

ある案件で予算の加減でどうしても断熱性能をそれ以上上げられないということがあり、

断熱性を持たずして快適さを上げる方法はあるのかと模索したことが始まりでした。

まずはここから
そもそも断熱性能って何のこと?
実際はこうなる
断熱性能がなくてもエアコン性能が高ければ快適?
大切なことは
断熱性能さえ取れていればOK?
まずはここから
気密って何のこと?
無視できない
気密性がないなら断熱性能でカバーする?
本音はこれ
断熱気密、どちらもいいがもちろんだけれど、どちらかを取るなら?

そもそも断熱性能って何のこと?

今更、という感じではありますが。

復習がてら、お読みいただければと思います。


昨今では国からの指針も断熱性能に目を向けたものが多くなっており、

専門家でなくても十分に断熱のことを理解しておられる方が増えてきました。

中には私以上の断熱マニアの方にお会いしたこともあります。

その節は色々と勉強させていただきありがとうございました。

 

さてその話はさておき、断熱とは何か、です。

断熱というのはわざわざ聞かれると難しく思えてしまいますが、

実は非常になじみ深いもので、皆さま一度が使ったことがあるアレも断熱です。

 

なんでしょう。

 

いろいろありますね。

 

ちなみに断熱のことを知っていたら正解できるというタイプの問題ではありません。

私個人とのシンパシーの問題です。

 

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そうです、布団と答えたあなたは正解です。

 

個人的に、ですが、私が人生で一番初めに恩恵を受けた断熱効果は布団ではないかと思っています。


それこそこの世に生まれ出て一番初めにくるまれたであろう物がおそらくその布団、と言いますかブランケットといいますか。それだと思うのです。


覚えてないのですけれどもね。

 


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布団といえばあったかいイメージがありますね。

私もあります。夏は暑いですね。

 

でも布団ってあったかいものなのでしょうか。

 

例えば冷蔵庫に布団を入れておけばどうなるでしょうか。

もちろん冷たくなりますよね。

いや、でもスープも冷蔵庫に入れたら冷たくなる。

これでは「布団って実は暖かくないんですよ」というには弱いですね。

 


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では氷を冷蔵庫から出して布団にくるむとどうなるでしょうか。

そうです。濡れます。溶けて。

いえ、違います。


違わなくはないのですが、そういうことが言いたいのではありません。


普通にテーブルの上に置いてある氷と布団にくるまれている氷ではどちらが溶けるのが早いでしょうか。

「そりゃあ布団の方でしょう。何せ布団はあったかいのだから。」

と、思われる方って少ないんじゃないでしょうか。

正解はテーブルの上に置いてある氷の方が解けるのが早いです。

 

実は布団ってそのものが温かいのではないのですね。

じゃあなぜ布団は暖かいのでしょうか。


暖かさの原因は私たち人から発生する熱エネルギー、つまり体温ですね。

この体温を布団の外に漏れにくいように布団をかけて体温が冷えすぎないようにして寝るのです。



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これが、私が一番身近だと思う断熱です。


代替のことは布団に置き換えれば「断熱」という言葉を言い表せます。

なにせ、例えではなくそのものですから。

 

つまり「断熱をする」というのは「家を布団でくるむ」ことで「断熱性能」とはこの布団の性能のことですね。

断熱性能がなくてもエアコン性能が高ければ快適?

さてお布団のお話を続けましょう。

お布団が薄くても、冬場部屋の中でストーブをつけて室温を上げたら十分暖かくして寝られるよ?なんなら布団かけてたら熱いくらい。



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ということは家の断熱性能が優れていなくても冷暖房をハイパワーでかけ続けたら十分快適なんじゃないの?

 

正解のようで惜しいです。

理屈上は熱源から発生したエネルギーが十分に部屋の中を満たしてくれればいいわけですから、室温を得るのに断熱性は必須ではありません。

 

じゃあ断熱性能を追い求めるよりも快適性を追求するならエアコンのパワーを気にしたほうがいいのか。

 昔はそうでした。

断熱性能という考え方がまだ未成熟だったころは熱源のパワーにばかり目を向けていた時代はあります。

ですが、冷え性の方などはお分かりかもしれませんが、エアコンで室温を何とかしてあげる、ということをすると顔の当たりばかり暑くて足元が寒くなることはないですか?


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暖かい空気は上に、冷たい空気は下にというのが物理法則ですから、一見断熱性能とは関係がないように思えるのですが、断熱性能が低いほうがこの現象は顕著に出ます。

 

 理由は簡単で、常に新鮮な冷たい空気が部屋の中に供給され続けるからです。

冬を例にとってお話しすると、断熱性能が低いということは温めた空気の数%は常にまた冷たい空気へと姿を変え続けるわけですから、部屋の中に同時に存在する「暖かい空気」と「冷たい空気」の温度差が断熱性能が高い空間よりも開きがあるわけです。

その分、顕著に上下に分かれやすくなり、また空気の移動が発生して隙間風のような吹きおろしが発生しるわけです。

できる対策としては暖房を入れながら暖かい空気と冷たい空気が混ざり合うように扇風機を回すことです。

攪拌さえしておけば空気が上下に分かれることはありません。

ドレッシングの水分・油分と一緒ですね。

 


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つまり、断熱性能が低いといくら熱源にパワーがあったとしても温度差が生まれ、大きな空間になればなるほど不快感が募ります。

 

 また、エアコンやストーブのつけすぎは過乾燥や、逆に過湿によるカビの問題を誘発するので、快適性とは違う観点で非常によくありません。

断熱性能さえ取れていればOK?

聞き方からして答えはNoなのですが、意外に聞かれることがある質問です。

断熱性能があれば気密性能はそんなに重要じゃないのではないのか。

もしくは気密の性能は測ったことがないけれど断熱性能が十分にあるのでうちの家は快適です。と仰る住宅会社様もあるようです。

 


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答えは言ってしまいましたが、棲み家では断熱性能だけでは駄目だと考えます。

ではなぜNoなのか

 言い出すと色々ダメで、建物躯体の健康など主題とすることもできますが話がずれるので、今は温度的快適性においてダメな点をお話ししようと思います。

 

 簡単に申し上げるなら、先ほどの断熱性能の低い家と同じ理由です。

 今度は断熱性があって、温めた空気は冷えにくいので部屋の中において冷たい空気は発生しづらくなりましたが、気密性能が低いということは部屋の中の暖かい空気が冷える速度など全く無関係に、外部の新鮮な冷たい空気が常に家の中に供給されている状態なわけです。


 防御力無視です。もうほぼ勝てないです。


「部屋の温度を上げるのなんか諦めて、身体の温度そのものを上げましょう。

冬は鍋がおいしいですね。お風呂も暖かいお湯にしっかりつかれば冬でも暑いくらいに身体が温まります。」


というのはダメです。

 

温熱環境について国が本気を出してきている背景にはヒートショックによる死者数が無視できなくなってきたからという背景があります。

 ヒートショックの一番の原因は暖かいところから急に寒いところに移動した際の血管の収縮による心臓への負担です。

 特に多いのが入浴後です。

 

快適に過ごす以前に、健康でいられなくなってしまいます。

 

漏気(空気が外に出て行ってしまうこと)による室温低下を、甘く見てはいけないのです。

気密って何のこと?

さて、根本的なところに回帰しますが、気密とは何でしょうか。


 

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気密とは、言い換えると「密閉されていること」です。

家の場合はどうやって密閉すればいいのでしょうか。

また、家とはそもそも密閉しても大丈夫なのでしょうか。

 

 まず家の密閉(以降気密)はどうやってやるのでしょうか。

いろんな方法があります。各社各メーカーによって「よい」と判断しているものも様々です。

では代表的なものを紹介してみます。

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気密工事で有名なのが「気密シート」

これですね、何と言ってもやった感がある。すごく手間もかかりますし、知識や経験も必要ですが、他の気密方法よりもしっかりやればかなりの数値を出すことができるでしょう。

 また、どの断熱材に対しても施工が可能で追加の気密工事としても活躍しています。

「できるやつは必ずやってる」的な立ち位置ですね。

 

 

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「耳付き断熱材」

こちらは断熱方法といいますか、優れもの商品のジャンルなのですが、

繊維質の断熱材はビニールの袋に入っていて、ただそれを壁の中に入れるだけでは気密性能がありませんが、

この耳付き断熱材には断熱材の室内側に当たる部分に気密シートが装着されており、

この断熱材を適切に構造躯体に留め付けるだけで断熱部分に対する気密施工も同時に完了する優れものなわけです。


 でもこれだけですべての気密が完璧に施工されていると思ってしまうのは非常に危険です。

 住宅は定尺の商品が求める寸法の部分ばかりではありません。

また、おさまりの難しいところや床、天井、屋根といった部分部分でも寸法や部材の並びが違います。

これらのすべてに対応できるほど商品の寸法レパートリーがないため、部分によっては断熱材に付属されるシートをあきらめて気密シートで気密を取る方法を取った方がいいでしょう。


 この辺りは知識と経験に属する部分です。

 なかなか工務店の方でもすべてについてスッと答えられる方は少なかったりします。

 


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「吹付断熱材」

 こちらも気密方法というわけではなく断熱材の種類なのですが、ウレタンフォームなどを現場で吹き付けて膨らむタイプの断熱材で、吹き付けた瞬間は小さくて数秒で何倍もの大きさに膨らむものです。

 また併せてこの断熱材は空気や水分を通しにくく、ビニール膜のような働きをします。

 この性能のおかげで、複雑に入り組む構造躯体の隙間に対してたっぷりと包み込んでくれることから、結果的に気密の性能が得られるということです。

 

 

まぁこのように気密施工に関する方法や商品はたくさんあるわけですが、

(ちなみに専門家でも使い方がわからないようなものまで含めるとまだまだあります。)

ではこれらの商品を購入して現場に施工さえしていれば気密工事に関しては安心でしょうか。

 もう聞き方からしてだめだと申しているようなものですね。

そうです。それだけではだめです。

ランニングシューズを買っただけで満足して走ってないようなものです。

 

 気密工事に大切なのは適切な計画と施工知識、また漏気が起こるかもしれない場所を先立って気づいて処置ができる経験です。

 

 気密気密と申している工務店はほとんどがこの部分で戦っています。

何をつかっているか、ではなく、何をどうやって使ってるかまで踏み込んでいないと必要な気密数値までは追いつきません。

 

 よくある漏気箇所ですが、コンセントの穴からも外気は入ってきます。

これを完全に近い状態まで隙間を小さくしようと思うと、設計者から職人に及ぶまで気密に対する意識が大切です。

 


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 次に、家は密閉しても大丈夫なのか

というお話ですが、結論出申しますと我々が気密が高いと判断する項目は、

家自体に実際に空いている空気の通り道の大きさ、多さではありません。

 家には必ず穴が開いています。

 密閉することは法律上許されていないのです。

建築基準法施行令第20条の8や建築基準法施行令第20条の2に記述されていますが、

室内で発生する二酸化炭素や有害物質を計画的に外部に排出し、また外部から新鮮な空気を取り入れることは建築物を称するうえで必須なのです。

 

 わかりやすく申しますと、換気が出来なくて密閉性の高いトイレっていやですよね?

そのように家全体についても計画的に空気が入れ替わる様に計画換気が行われます。




 初めに戻りますが、我々が気密を語る際に話題に出す「隙」とは、「計画していない隙間」のことです。

つまり、換気扇は穴が開いている前提で、気密の話の際は無視します。

ですので、真空パックのような、完全に密閉されている空間というものを住宅の中に作り出そうとしている工務店は存在せず、密閉しても大丈夫なのかという質問に対しては、結論から申しますと「必要な穴は開いているので大丈夫ですよ」というお答えになります。

 

「では気密になっていないではないか。」

と、頂きそうなものです。


そこから熱は逃げないの?

と思われるかもしれません。

もちろん、逃げます!

という状況で寒くなったり熱くなったりしないように措置する方法についてはまた改めて別の内容として記述させていただきます。(ヒントは熱交換です。)

気密性能がないなら断熱性能でカバーする?

稀にお聞きする質問なのですが、気密性能がないってものでも断熱性能がしっかりしていれば大丈夫なのか。

 

 

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ダメ、とは申しませんが、やはり気密性能が取れていないと温度差は生まれやすくなりますし、温度差が生まれると気流の発生が懸念されます。

断熱性能が高い分、漏気している箇所の温度差は著しいものとなり、よくあるのは上階から冷気が吹きおろしてくる、等不快な思いをすることになるかもしれません、

 

 「じゃあ一いっそう断熱性能もさげて温度差が生まれにくくすれば・・・?」

というのはダメですよ。気流対策に対する方向性は間違っていないですが、本末転倒です。

断熱気密、どちらもいいがもちろんだけれど、どちらかを取るなら?

さて、最後のコンテンツです。

皆様長々とありがとうございました。

必要な話、不要な話、織り交ぜてきましたがこれで最後です。

 

 さて最後は「仕事と私どっちが大事なの?」的なやつです。

そうです。断熱と気密どちらかを選べと言われたら非常に悩んでしまうわけです。

気密性能がなければいくら断熱性能があっても、ある部分から直接外気が入ってくるわけで、いくら断熱をしても一定量は必ずロスが生まれます。ドアを開けながら暖房しているようなものなので、なんとももったいないですね。

とはいえ、断熱性能がなければ気密性能なんて上げてもそもそも何の意味もないのでこれら二つはどちらかを選ぶことなんてできないのです。

 

と、これでは一般の消費者の方がたどり着く結論と何も変わらないので、

違う見解から一つ。

 

 どちらかを選ぶことはできませんが、どちらを強化するかを選ぶことはできます。

 

気密の内容について、今回は主に温熱の話に限ってさせて頂きましたが、

気密性能が役に立っている部分は温熱の部分だけではありません。

建物事自体の劣化を防いだり、音漏れを防いだりもしています。

音漏れについては断熱の強化でも行えますので、気密性能について申し上げれば建物の劣化を防ぐ機能が、断熱を強化するだけでは得られません。


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また、気密性能が防いでいる劣化、そのなかの一つに断熱材の劣化も含まれますので、気密の性能を上げておくと断熱材がながく効果を発揮し続けることになります。

そんな理由で、どちらか一つを強化するために資金を投入するなら、気密工事にしておいてはいかがでしょうかと、私はお勧めするわけです。

 

以上、断熱と気密の関係について、今更考えてみたわけです。











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