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むてんか。という暮らし方   -自然素材と、無添加住宅は、工務店的には微妙に違う。-

2018年11月30日|カテゴリー「スタッフブログ

みなまさこんにちは。

株式会社棲み家の増田です。


 皆様、無添加住宅という者をご存じでしょうか?


ん? という方も、

なんとなくわかる という方も、

知ってる という方もいらっしゃることと思います。


 もしもこのブログに辿り着いた方が無添加住宅についてよく知らなくて、

自然素材の家が欲しいと思っておられるなら、


 少し長いですが是非最後まで読んで欲しいと思います。

 

 本日はちょっと、つっこみ覚悟で無添加住宅について熱く語ってみようと思います。



 

1
自然素材とは?
2
自然素材なら身体に優しいという危険な思い込み
3
無添加住宅の発祥
4
無添加住宅で使用する素材、建材・使用しない素材・建材
5
「無添加住宅」という住宅商品ではなく、「無添加住宅」という家の捉え方
6
むてんか。という暮らし方


1. 自然素材とは?

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 無添加住宅についておはなしするために、

まずは自然素材について先にお話を差し上げたいと思います。



※「自然由来」とは話を区別いたします。

加えて、かなり長くなるので自然由来については割愛いたします。

 

 

一般的に自然素材と言われると、

木、土、紙、石など、物質そのものを思い浮かべることが多いのではないでしょうか。

 

乱暴に定義いたしますと、人工的に作られた素材以外のものを自然素材と呼びます。

 

わかりやすいのは木のフローリングや、しっくい、珪藻土、など。

これらは住宅ジャンルではかなりの代表格ですね。

 

床にとどまらず、壁にあしらった木パネリングや土壁、

100%自然素材の紙クロスなども自然素材ですね。

 

自然素材の特徴は「自然界に存在する」

という発祥の特異性だけではなく、多くの場合、

 

・メンテナンスがしやすい

・長持ちする

・調湿効果、消臭効果等、付加効果を併せ持つものが多い

 

などがあります。

 

 たとえば漆喰などですと、ビニールクロスに比べて

「壁が傷んできたな」と思い始める時期が遅いのが一般的で、

手直しに関しても全面塗り直しではなく部分的に漆喰を塗りつけて補修することが出来る。

 

 また、こちらも調湿効果と消臭効果を含んでおります。

 

無垢のフローリングもへこみ傷は水で直せますし、

しつこい表面汚れは削れば落ちる。

 

 

 

 基本的に自然素材はその肌で効果を発揮するものが多いため、

上に塗装やコーティング、また樹脂系の物を混入してはいけません。

(樹脂系接着剤やウレタンコーティング等がこれに当たります。)

 

 いけませんと申しますか、純粋にもったいないです。

 

 加湿器の吹き出し口にサランラップをまくような行為です。

 

少し言いすぎですね。すみません。

 

 

 

他の特徴で申しますと、

「あたたかみ」や「やさしさ」があると思います。

 

 

 自然素材は天然にも存在する色目や感触をしている物も多く、そういった質感が我々の目には「優しく」映るのではないでしょうか。

 

 

 日本において、自然素材の代表格が「木」なのにもいくつか理由があり、

日本は山や林の多い地形で、昔から木が建築の素材として使われてきました。

 

 

 また、海外の国のように石で家を建てることは、地震の関係で非常に難しいのです。

(現在の鉄筋コンクリート造はここでいう石とは別物です。)

 

そうやって木が建築の主役になり、多くの場所で多くの人が木で作られた建造物に慣れ親しみ育んできた感性なのだと思います。

 

 

 

 別の話にはなりますが、コンクリートストレスと言われる言葉があり、

私は関東や中部の某有名大学が行った研究結果により語られるのを伺いました。

 

簡単に実験の方法をご説明いたしますと、

コンクリートでできた箱、木でできた箱、

その両方に居住者を見立てて小動物に生活をしてもらうという実験です。

 

 その過程で、どのような心的変化が起こるかを記録し、考察したものなのですが、

具体的な考察や数字は割愛させて頂くとして、

結論から言うと木でできた箱で育った動物の方が10倍「元気」と位置づけられたのです。

 

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 これはメンタルな問題もありますし、フィジカルな問題もあります。

心的ストレスにより錯乱状態になること、

体調不良により動き回ることが出来ないこと、

この両方が、「元気でない」と判断された側には存在した、というものです。

 

 

 念の為に申し上げますと、

私はコンクリートを悪いという意味合いで記述させて頂いたわけではありません。

 

 

 それくらい、木というものが我々の生活にはなじむのだという意味です。

 

 

 

2.自然素材なら身体に優しいという危険な思い込み

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 さて、前項で長々と自然素材のことについて脱線しながらもお話を致しましたが、

ご注意頂きたいのはこの時点で「健康的であるかどうか」については区別されていないこと。

 

ん?

 

はい。

 

自然素材であると言うことは、

初めに申し上げたとおり人工的に手を加えて形作られたものではないすべてのものを指します。

多くの場合は、ですが。

 

木や、石、紙(物質的には変わっていないので自然素材でいいでしょう)などですが、

その他にも天然に発生、存在する鉱物、六価クロムやカドミウム、鉛など、健康被害の代表格も自然素材と言えます。

 

 この自然素材(天然素材とも呼ばれたりします。)が含む意味合いは、

あくまで自然(Nature)の中に存在している素材であるということです。

 

 少し平和ではない話になってきましたね。

もう少しこのままのテンションでお付き合いください。

 

 

 「自然素材であれば、健康というワケではない。」

 

 

 それはわかったけど、

実際に家を建てるときに

カドミウムで作った床材や

六価クロムを混入した塗り壁材を使うワケではありません。

 

 

 そもそもそんな選択肢が一般的には用意されていません。

 

 

 彼らは人間と相容れない素材であると言うことがあまりに有名だからです。

 

 

 

じゃあやっぱり一般的に出回っている商品、

建材を使っていれば

 

自然素材=身体に優しい

 

 じゃないか。

 

 

 果たしてそうか、というところですが、

私の意見はNoです。

 

 

 でないとこの記事を書きません。

 

といいながらこの後の話でまとまらなければ

書いたけどアップせずに封印する

と言うこともあり得るわけですが、それは置いておいて。

 

 

 なぜ自然素材=健康素材ではないと言えるのか。

実際に自然素材を使って被害が出たことがあるのか。

 

 その話をする前にまず、無添加住宅について少しだけお話を。

 

3.無添加住宅の発祥

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「無添加住宅誕生のきっかけは、体調不良を訴える一人の女性との出会いでした。


わたしたちは、その体調不良の原因が家の中の空気、
すなわち化学物質だと推測し(のちにシックハウス症候群と判明)、
その原因を排除した家づくりを始めました。


そこでお手本にしたのが、シックハウス症候群のなかった頃の昔の家づくりです。


昔の家は土と木、そして草や紙などで構成され、バランスがとれていました。


その考えを軸に、現代の家づくりに合うよう何度も吟味を重ね、
自然素材に徹底的にこだわって完成させたのが「無添加住宅」です。


また、フランスとスペインに挟まれた小さな国「アンドラ公国」を訪れた際に、
わたしたちは天然石や漆喰で造られた家の素材とデザインに感銘を受けました。


その家は築300年、400年を経ても美しさを保っていたのです。


その二つの要素が共生した家が無添加住宅。


無添加住宅はただの健康住宅だけでなく、夏や冬も快適で、
経年変化が楽しめ、本物にしかない素材感やデザインなどの価値を提供します。


他にはない世界で一つだけの家、それが無添加住宅なのです。」

(株式会社無添加住宅様HPより抜粋)

 

 

代理店の間では当然のように知られる有名なお話で、

無添加住宅の現会長でおられる秋田会長の体験談、及び無添加住宅誕生までの逸話です。

 

 このお話の中から何を伝えたいかと申しますと、

前提が「シックハウス症候群の方に提供する」というところにあるのです。

 

 実際に色んなものを「シックハウスの方でも住める」事を目的に試行錯誤し、出来上がったのが無添加住宅です。

 

 ここのストイックさがたくさんある「自然素材の家」と一線を画すところです。

 

現在ではもう随分と知られるようになったシックハウス症候群、また化学物質過敏症ですが、まだまだその知識は一部の方しか興味を持っていません。

 

 これは住宅メーカー、建築家、工務店、どれをとってもです。

 

 私の感覚からすると、これらの内容を気にされる大多数のかたが、

健康被害が気になる、新築に入ると目が痛い、などを伝えると、

「大丈夫ですよ、問題ないですよ」「気にしすぎですよ」と言われておられます。

 

 私も目の前で目の当たりにしたことがありますが、

そういっておられる方に悪意はないのです。

 

 現在の住宅商材で健康被害が出るはずがないと、心から信じておられるのです。

ですが残念ながら目を向けてみればシックハウスや化学物質過敏症(CS:Chemical Sensitivity)の方はかなりの数でいらっしゃいます。

 

 メカニズムは花粉症と同じ様な物なのです。

誰が「私は大丈夫」と言えるでしょうか。

 

 大丈夫ではない、と言い切ることも当然出来ないわけでありますが、

なにが大丈夫なのか、大切なのはその内容と、大丈夫な根拠だと考えております。

 

 できることなら、健やかに、一生暮らして欲しいという想いのもと、われわれも建築を致しますから。

 

4. 無添加住宅で使用する素材、建材・使用しない素材・建材

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 無添加住宅において、よく使う商材としてパイン材があります。

松の木ですね。松と言いましても色んな種類がありまして、中にはスギなのにマツと名前のつくものもあります。

話がそれるのでその話はちょっと置いておきます。

 

 なぜマツを使うのか、と言いますと、揮発性物質(VOC)の発散が少ないからです。

 

 

・・・・・。

 

揮発性物質というのは殺虫作用と考えてください(厳密には違います。少し乱暴です。)

殺虫剤をどれくらい振りまくのか、これは種と、木が育った環境に大きく由来します。

 

 松の木は「キクイムシ」という米粒ほどの生存能力のかなり弱い方に分類されるムシが食べます。

 それくらい、殺虫作用は少ない素材なんですね。

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 他に代表的なものでシンゴンと言われる木もよく使います。

こちらはセンゴンラウト、ファルカタとも呼ばれる樹種です。

樹種ですと言いましたが、草の仲間です。

マメ科ですね。

 

 こちらも自然界では熱帯地方に自生する種で、成長が非常に早いです。

土に帰るのも非常に早く、土に埋めるだけでも十分に自然に返るのでエコ素材として注目を集めています。と紹介しましたが、これが本旨ではありません。

 

 つまるところ要するにやはり弱い木なのです。

当然キクイムシの被害にも遭います。

 

 木独特のつーんとしたにおいはなく、あまーいにおいが特徴で、

殺虫作用など皆無と言わんばかりの香りです。

 

 その名の通り、虫も殺さん、というやつです。

 

 なぜその殺虫作用、揮発性物質の発散量にこだわるのか、

例えば揮発性物質の多い、またはきつい種として有名なのがアオモリヒバやヒノキなどです。

 これらの木は非常に強いため虫害にあいません。

 虫が食べられない、毒が多いと認識している木なワケですね。

 

 当然殺虫効果を多少身体のなかに入れたところで人間は支障をきたしません。

しかも、別に一瞬で殺虫に至らしめるほどの能力があるわけでもありませんし、

「ヒノキに家に住んで死んだ人なんて見たことない」という、某会社様の言い分も間違いではないわけですが、聞きたいのはそういうことではありません。

「死なない=健康」、ではないですよね。

 

 この少量の毒を、毎日蓄積し続けるとアレルギー反応を起こしてしまうのです。

アレルギー反応を起こし、その空間の中で存在が出来なくなってしまうのが、シックハウス症候群です。

 

 だから、ヒノキは内装には

極端に言うと使用しません。

 

 他にも、

スギ、クヌギなど、揮発性物質の多い樹種は意外にも身近にあります。

 

 こういったものも内装材として使う場合は使用量には注意してください。

 

 

 

さて、床のお話を致しましたが、

無添加住宅では壁や天井も一般的なビニールクロスは使用しません。

紙クロス、珪藻土なども使用しません。

 

 基本的に天然高知産しっくいのみです。

くっつきやすいように混ぜものも致しません。

 

 理由は簡単で、ビニールクロスや紙クロス、珪藻土ではシックハウス症候群の方が住めないからです。

 

 紙クロスや珪藻土も自然素材であると、前述いたしましたが、

こちらも健康とは少し違うようです。

 

 なにが違うのか。

 

 結局のところ科学接着剤でないと全て壁の石膏ボードにくっつかないのです。

科学接着剤からでる揮発性物質は、建築のジャンルでは有害と認められていないのに

他の業界では危険物質として位置づけられているものも含まれています。

 

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 例えば紙たばこの成分にも含まれ、

危険物質と位置づけられているベンゼンなどもそのうちの一つです。

 

 ですが建築の業界では使用注意、または禁止項目に含まれていないため

使用制限がないのです。

 

紙クロスがいかに自然素材100%だとしても、

それを化学物質で壁に貼り付けたのでは「家」として見たときに

健康に過ごすために最善の家ではありません。

 

 珪藻土も実は同じ理由で、これらを選択される際に重要なのは、

それ自体が健康に即した素材であるかどうかもさることながら、

場合によってはそれよりも、

どうやって施工するのか。

 

 ここに失敗の種があることを理解しておかないと、

「思ってたのと違う」

「聞いてたのと違う」

となってしまいかねません。

 

 

この他にも、湿気の問題やカビ、

気流の問題やハウスダストなど、

色々健康に即したこだわりがありますが、

今回は内装材だけご紹介いたしました。

 

前々項で申し上げた

「 なぜ自然素材=健康素材ではないと言えるのか。

実際に自然素材を使って被害が出たことがあるのか。」

 

この答えはもう見えましたね。

 

 

5. 「無添加住宅」という住宅商品ではなく、「無添加住宅」という家の捉え方

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色々と無添加住宅の事についてお話を連ねて参りましたが、

ほとんどが素材の選び方のようなお話になってしまいました。

 

 無添加住宅というのは、私は一つの住宅商品ではなく、住宅の捉え方、

いわば

「高気密高断熱」

「高耐力住宅」

「全館空調」等のように、

ジャンルの名称だと捉えています。

 

 だからこそ、

どんな家を建てるか

と考えたときに初めに良くも悪くもふるいに掛けられるべき存在だと思っています。

 

なぜなら、無添加住宅を目指して建てられたわけではない建築計画を、

仕上げ材だけ変えて無添加住宅に、

というのは、本来全く不可能だからです。

 

 環境設計においても、

構造設計においても、

インテリア計画でさえ、

後から無添加住宅に切り替えた計画には無理が出ます。

 

 まして、

工事の現場でも

だまし

だまし

作っていくことになるのが目に見えています。

 

 それくらい、特異で技術のいるジャンルだと思います。

だからこそ、選ばれた代理店しか建てられない様にチェック体制が敷かれているわけですね。

 

 私もよく耳にしますが、

「うちでも似たようなことできますよ」と仰る方がいらっしゃいます。

 本当だとしたらすごいことだと私は思いますが、

商材から設計計画、工事内容から職人の徹底まで、なかなか昨日今日では出来ません。

 

 もしも、本当に健康にフォーカスして家づくりをしたいなら、

その知識レベルはご自身でも必ず上げてください。

 

 営業マンの嘘を見破る目をお持ちの方でも、

嘘をついている気がない営業マンの間違いには、

知識がないと気づけません。

 

 きっとあなたが求めているプロは、その人ではないと思いますよ。

 

6. むてんか、という暮らし方

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長らくお付き合い頂きましてありがとうございます。

最後に、むてんかという暮らし方について、

私の意見をお聞き頂ければ幸いと考えております。

 

 先に、無添加住宅の良いところを中心に今はお話をさせて頂いております。

ですが、もちろん皆様にとって良い事ばかりではありません。

 

 現代の寸分狂わぬ工業製品に比べて、自然界の素材は非常に正直で、

私たちの意図通りに存在しているとは限りません。

 

湿気が多ければふくらむし、水分が抜ければ縮む、

その時に反ったりするかも知れません。

 

また、フローリングにお茶をこぼせばしみこむし、

それがお醤油だったら拭いたって簡単には取れない。

 

 しっくいだって扱いを間違えれば汚れるしはがれる。

 

 無垢材って手入れに手間がかかるでしょう?

とよく聞かれます。

 

 弊社の無垢材は一切手入れが係りません!

放っておいてもきれい、清潔!

 

 なんてことはあり得ません。

無添加住宅であろうが無かろうがです。

 

 ものを落としてついてしまった傷や、

曲がるときに掴むせいで黒ずんだ壁、

こういったものを、

  直したり

    受け入れたり

そういった自然の素材とともにくらす感覚が無添加という暮らし方ではないかと思っています。

 

 

 自分の作った大小不揃いの野菜や、傷のついた果物、

そういったものと大きく違わず愛せると、私は思います。

 

 

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以上、つっこみお待ちしております!

 

 

ツッコミ、と銘打った問い合わせボタン→

 
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暖かい家が欲しい人ほど自然素材で作った方が良い-無添加住宅という提案-

暖かい家が欲しい人ほど自然素材で作った方が良い-無添加住宅という提案-

2018年11月20日|カテゴリー「スタッフブログ
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「暖かい家が欲しい」

 日本家屋が夏向けに造られてきたことから、

近年になってようやく聞こえるようになってきた要望です。

 

 世界の寒い地域では、当然ながら「冬の寒さ」に対してきっちりと対策がなされてきて、

そこに対しての蓄積された知識や経験、常識が存在しますが、日本の場合はまだまだ経験が浅く、どこの工務店も手探り、といった調子ではないでしょうか。

 

 以前ブログにも書きましたが、まして京都の気候は難しい。

(以前のブログはこちらから)

 

 こと国策においても、右に行ったり左に行ったり、エネルギーと快適さをうまく区別できていなかったりと、大変な様子です。

(国策についてはいろんな調整があると思うので大変だとは思いますが・・・。)

 

お話を戻して、

夏向けに作られてきたとはどういう事でしょうか。

 

「家の作りやうは、夏を旨(むね)とすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪え難き事なり」



かの有名な「徒然草」に出てくる一文です。

要するに、

夏のことを考えて家を作るべきである。

冬はどこにでも住めるが、暑い日に暑さに対策を取られていない家に住むのは耐えられない。

 

と言うこと。

 

ん?

吉田兼好は相当の暑がりだったのでしょうか。

 

もちろんそうかもしれませんが、

一概にそれだけというわけではありません。

 

冬にどこにでも住めるというのは、材料があれば火をたくことが出来たからですね。

昔、電気で空気を冷やすという術のないころ、「部屋を涼しくする」という行為は奇術の仕業に近かったわけであります。

 

現代と事情が大きく違うわけですね。

 

現代で言われる「暖かい家」「涼しい家」というのは、

部屋が暖かく(涼しく)できる出来ないの能力の話をしているわけではないのです。

 

 

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 ではむかしの日本家屋はどのような特徴を持っていたのでしょうか。


 

お寺に代表されるような長い庇。

 
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これは夏の日射を遮り、部屋の中に熱が入ってくるのを防ぎます。

 

風通しを考えた対面開口部、及び常時開放可能な引き戸

 
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家の中の風通しをよくすることによって湿気と、こもった熱を外部に逃がします。

 

漆喰や木材、畳といった調湿性能を持つ素材の使用。

 

 
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伝統的なお寺などは、少し薄暗くひんやりしている印象を受けたことはないですか?

これはこれらの仕掛けが作用している証拠です。

 

 

ですが、逆に冬場にこのようそうではさすがに寒くていられないですね。

 

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先にも記述したとおり、

現代には空気の温度を調整する「エアーコンディショナー」をテレビよりも沢山の台数、ほぼ全てのご家庭が所有しています。

 

昔で言うところの囲炉裏の様なものでしょうか。

 

 快適に過ごすための必須グッズなわけです。

 

しかし、囲炉裏とエアコン、これはそもそも暖房の仕組みからごっそり違うものです。

別物です。

言い換えただけで同じ事二回言いました。

 

 先ほどから何度も申しているように、エアコンは空気の温度を調整する機械です。

メカニズムについては今は触れませんが、とにかくそういう機械です。

 

 しかし囲炉裏は火をたくための場所です。

いわば暖炉です。

 

暖炉の火、実はこれ空気を暖めることはありません。

火の放出する熱エネルギーでは何も存在しないところを暖められないのです。

 

でも暖炉もたき火も暖かいじゃないか!

 

その通りです。

エアコンとは比べものにならないレベルのエネルギーを放出しているため、当然のように暖かいのです。

 

 ですが、この暖かさは、放射される熱エネルギーが触れた物質を直接暖めるという作用からわれわれは暖かいのです。

 

「火に当たる」と言いますね。

あれはそういうことで、火から放出されるエネルギーを直接受け取ると言うことです。

 

たき火に当たっている手のひらの表面温度が38℃、その間の空気の温度が-10℃なんて事も普通に起こります。

 

これ以上はただただマニアックなので止めておきまして、

なぜそんな話をしているか。

 

 先ほどのお寺を思い出してください。

冬場に囲炉裏を囲んで暖を取る。

これは十分に温かいイメージですが、

冬場に障子の向こうは「外」という状況でエアコンを付ける。

このイメージに温かさを発見できるでしょうか。

 

 感覚的に、いや、寒そう。

エアコン意味なさそう。

 

 と、感じたのではないでしょうか。

 

 要するに、空気をいくら暖めても外に逃げていくから無駄なのです。

空気を暖めずして暖を取れる「火」こそ、日本家屋で有効な暖房なのです。

 

 これが、今昔の事情の違い、その大きな部分です。

家の中で火を焚くわけにはいきません。

 

 「暖かいものに当たる暖房方法」から、「暖かい空気で充満させる暖房方法」となったわけです。

 

※「暖かいものにあたる暖房方法」(輻射熱暖房)自体は現在でも存在していますが、エアコンのように主流ではないという程度でご理解ください。

 

 

 

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 表題全て、温熱環境のお話をしているとよく出てくるワードなのですが、

人によって解釈色々で、求めていることと違う洗濯をしてしまう方も見受けます。

 

 そこで少しだけことばの定義をしておきたいと思います。

 

 

「暖かい」・・・

 

 これは難しい言葉ではありません。

小学生でもわかります。

 

逆説的に「寒くない」ということです。

 

が、非常に難しい内容で、「暖かい」と感じる温度に答えがないのです。

 

感覚的に暖かいと言えば2024℃くらいでしょうか。(一般的じゃない可能性も・・・)

堅い話の中でこのワードはあまり頼らない方がいいかも知れません。

 

「快適」・・・

 

 これも上記と同じ、

 

感覚に頼る部分が大きいと思われるので答えの提示は難しいのですが、

「暖かい」よりもさらに範囲が広い言葉です。

 

 

暖かいけどじめじめして快適じゃない。とか、ありそうですよね。

 

健やかに過ごすためにどんな要素があるのか、それをしっかりと見極めないといけません。

 

 

 

 

 

私からのご提案としては、

 

・温度

・湿度

・手触り

・臭い

 

この四つくらいを押さえておけば、当面温熱の話題は乗り切れるのではないでしょうか。。汗

 

 

「省エネ」・・・

これも最近よく聞く言葉です。

 

省略せずに言うと「省エネルギー」ということです。

 

省エネルギー=高性能

にならないことに注意してください。

 

また同じように、

 

省エネルギー=快適

でもありません。

 

 

単純に、エネルギー消費量が少ないという意味です。

 

求める快適性能が発揮できないのであれば省エネでも意味がありません。

 

究極の省エネは我慢、と、昔どこかの先生が仰っておられました。

 

 

 

 

 

 

「断熱性能」

 

 少し毛色の違うワードですね。

いわゆる専門用語に属するでしょうか。

 

断熱性能、について簡単にご説明いたしますと、

魔法瓶の中の温かいお茶が冷めるまでにかかる時間の長さのことです。

 

 家に置き換えても一緒ですね。

暖めた空気が冷え切ってしまうまでの時間が長い家を、高断熱住宅と呼んでいます。

 

 どこまで突き詰めても「断熱性能」だけで空気の温度を自由自在に操ることは出来ません。

 

 世界トップレベルの魔法瓶に冷めたお茶を入れておくだけで温かくなる、なんてのはもう魔法です。へそで茶を沸かすレベルの魔法です。

 

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 つまるところ暖かい家というのはなんなのでしょうか。

 

 断熱性能、だけでは解決しないことは先だってご説明差し上げましたね。

暖房器具だけをよくしても解決しないと言うことも、今昔の事情問題から推測頂けると思います。

 

エアコンを微量に掛けるだけで室内温度を24℃に保てる家!

というと、なんだかすごく魅力的ですが、

少し乱暴ですが、結論から申し上げると

それだけではスリッパと靴下、フリースをはなせない住宅環境になること

つまり完全に失敗する事も十分に考えられます。

 

室内温度だけが全てだと考えている設計者は、

「暖かさ」の正体をしっかりと見られていません。

 

 知識だけを増やし、経験をおろそかにすると、

「国の言うとおりやったのに!」と後で泣く、泣かすことになります。

 

先ほどたき火の話で申し上げたように、手のひらの温度が38℃、空気の温度が-10℃ということもあり得ます。

つまりその逆で、室内温度は28℃なのに足の裏の温度が14℃、なんてことが普通に起こります。

 

ようするに、というより、私が思うに、または私だったら、

「暖かい家」と言葉を使いながら、その実温度の話はしていないと思うのです。

 

そんなに温度は高くないのになんか寒いとは思えない家。

これが「暖かい家」の正体かなと考えております。

 

ではなぜその温度的な快適を持ち出して「自然素材」をすすめるのか。