皆様こんにちは!!
現場大好き
棲み家 チーフデザイナーの増田です
今回も私のうんちくを載せて行きたいと思いますが、いつものことながら長くなりますので、覚悟の上で挑んでください(笑)
皆様こんにちは!!
現場大好き
棲み家 チーフデザイナーの増田です
今回も私のうんちくを載せて行きたいと思いますが、いつものことながら長くなりますので、覚悟の上で挑んでください(笑)
皆様は「C値」という言葉を耳にしたことはおありでしょうか
別の呼び方で「相当隙間面積」とも呼ばれております。
要するに建物に空いているスキマの合計した大きさのことです。
C値は「0.5」「1.9」「5.0」といったように数字で表され、単位は[c㎡/㎡]となります。
建物全体の隙間を建物の大きさで割って数値を出しますので、値は小さい方が「隙間の少ない家」ということになります
ちなみにですが、以前は「C値5.0あれば十分な性能」と位置づけられた時代もありますが、これは現代ではちょっと時代遅れな数値です。
現在の指針値は地域によって違いますが、北海道など寒冷地と呼ばれる地域で2.0、その他の地域では5.0を基準としています。
もちろんこれは最低限の基準値になりますので、「弊社はC値5.0を確保しています!」なんて事を謳っておられる工務店は存在しないでしょう。
大体がもっと小さな数値か、測定をしておられないかのどちらかです。
一般的に耳にされる「高気密住宅」というもので2.0、
R-2000と呼ばれるカナダの住宅性能基準では1.0が指針値となっております。
温熱先進国ドイツの「パッシブハウス」の基準値はなんと0.2です。
弊社最高値は0.25、最低基準値は2.0以下です
さてこのC値ですが、よくこんな事を耳にします。
「わかりにくい!」
ですよね
それはそうですよね
「C値1.0です!よかったですね!」
と言われても、
「あぁ、そうなんですね。よかったんですね…」
としか返答できないですよね
だって床面積1㎡に対して隙間の平面積が1c㎡です。
とか、
建物全体を通して全部の隙間がはがき半枚分の平面積です。
なんて言われても、重要な「快適性」に全く結びつかない・・・
ピンともこない!
私もこの仕事をし出した頃は「C値は2.0で高気密住宅!」くらいにしか捉えていませんでした。
ですが!
それでは気密の大切さも気密工事の大変さも、一切お伝えすることが出来ません!
という事で勉強したのであります。
「温熱」とは、暖かいとか寒いとか、そういう快適性に関することです
分かりやすく、室内の暖かさを例に気密の重要性を記載していきます。
住宅の漏気(ろうき:家の中から外に漏れていく、及び外から中に入ってくる空気)の量は、
① 室内と室外の温度差
② 外の風速
③ 相当隙間面積(C値)
④ 換気の方法(24時間換気)
によるので、①に関しては細かく言えば家の断熱性能なども係わってきます。
ですので、実際の数字は各建物ごとに大きく違ってくるとは思いますが
例えば、冬場の暖房状態の部屋で、外では比較的よくある強めの風が吹いていて、第一種換気(給気も排気も機械で行う換気方法)を使っている家と想定した場合、
(※24時間換気は1時間に50%の空気が入れ替わるように可動しているとします。)
C値5.0の場合、1時間で2回強、約230%の空気が入れ替わり、
C値2.0の場合、1時間で1回強、約120%の空気が入れ替わり、
C値1.0の場合は、80%、
0.2ともなると1時間で60%未満の空気しか入れ替わりません。
室内外の空気が入れ替わると言うことは、室内の温度も入れ替わることになりますので
(熱交換型の換気扇を使っても温度の中和は起こります。)
C値5.0の場合・・・(1時間で230%の空気が入れ替わる)
1時間の間にハイパワーで一気に20℃まで室温を上げたのに、上がったら窓を全開して一度 外と同じ気温まで冷やし、またハイパワーで20℃まで室温を上げても、また窓を全開して外と同じ気温まで冷やして、そこから10℃くらいまで室温を上げたところで1サイクル・・・
というような感じになります(念の為に申し上げますがイメージです。)
実際には継続して暖め続けていることになるので、壁や天井、床に蓄えられた熱があるので、上記の状況ほど暖房器具に負荷はかからないですが、C値が高いとこれに近しいことを暖房器具は行うことになるわけです。
日々の光熱費、暖房器具の寿命など暖房器具をハイパワーで稼働し続けることによる二次課題(ガスファンヒーターであれば湿度、逆にエアコンであれば乾燥など)を少しでも楽に、快適にしようと思えば気密性は無視できないのです
「解体の時に壁をめくってみるとグラスウールなど袋系の断熱材にカビが生えていて大変なことになっていた。」
実際によくある状態だと思います
おそらくその場合の半分以上が、木材にも目に見えるダメージを受けていたりします
言わずもがな、カビや腐れの大きな原因となったのは水分です
カビの発生にはいくつか条件があります。
・温度
・養分
・湿度
などが大きな要因です。
温度に関しては、壁体内はいかなる温度状況にもなり得ますし、
養分に関しては、当の断熱材や木材そのものが養分となり得、コントロールは不可能です。
湿度に関しても、結露現象が温度差によって起こるのだということならコントロールは不可能な様に見えますが・・・
この湿度、どこから来ていると思いますか?
ほとんどが室内から壁体内に進入した水分なのです
想像してみてください。
家の中で料理をしたり、お風呂に入ったり、そもそも呼吸をするだけでも水蒸気は発生いたします。
その水蒸気が壁体内に入り、冷えた空気に晒されると、結露するのです
これが壁体内結露と言われる現象です。
壁体内結露が発生すると文頭のように壁体内の木材や断熱材に致命的なダメージを与えることがあります。
断熱効果低下の危険
カビの発生による健康被害の危険
断熱効果の低下による一層の壁体内温度差
→更なる結露
壁体内の湿潤化によるシロアリ被害の危険性
湿気による構造材のカビ、腐れ
・・・など、リスクを挙げ出すときりがありません
しかも、壁体内のことなので、室内にいて気づける状態に来たときには、もうかなり進行している状態であることが考えられます
(最近は防かびのクロスなども一般的になってきましたのでより一層壁体内の状態は気づきにくくなっております。)
ここで気密のお話に戻りますが、もうお気づきかも知れませんが、壁体内の結露を防ぐ、または軽減する方法としては室内(生活空間)の湿気を壁体内に入れない=気密性能を上げることが、一番わかりやすく効果的なのです
壁体内の健康を考えるなら、過酷な状況にも耐えうる屈強な断熱材を選ぶ前に、壁体内の環境改善をおすすめしたいのであります。
日本でヒートショック※が原因でなくなられる方は年間約一万人を記録すると言われております。
また、他にも人の健康に気密性が関与することはございまして、計画換気と言われる内容に関係しています。
「24時間換気」と言う言葉を、家造りを検討しておられる方なら聞かれたことがあると思いますが、
これはまさしく「ひとの健康を守る」為の法律なのです
昨今住宅建材や新素材などが流行、流通、一般化する中で、その新しい素材(石油製品やシンナー系接着剤など)に対するアレルギー反応が確認され、数多くの疾患者を出しています。
一般的には「シックハウス症候群」と言われている疾患です
この疾患に対して国が定めた制度が「24時間換気」なのです。
24時間換気の意図としては、2時間に一回、室内の空気が丸ごと外部の空気と入れ替わることで、住宅に使用されている危険な物質(TVOC)を外部に排出、室内の空気環境を保全しようというものです。
正確に2時間に一回入れ替わる事が望ましいので、設計段階では経路の確認や空気の流れ、排気量や給気量の計算をして換気扇の個数と設置場所を決定していきます。
(「法律上どこかに付いていればいいのです」というのは非常に不親切かつ不適切な法解釈ですので気をつけてください)
ですが、実はこの計画換気が計算通りに稼働している建物は非常に少ないのです。
換気方法には3種類あり、
・第一種換気
・第二種換気
・第三種換気
と、それぞれ呼びます。
これら3種類は、換気扇をどこに付けるかにより分類されています。
まず一般的によく使用される第三種換気とは、排気する換気扇だけを設置し、給気をプロペラの付いていない自然換気(給気口)に任せるという内容です。
第二種換気というのはその逆で、給気のみを換気扇で行い排気する部分は排気口が開いているといった内容です。※住宅には基本的に使用しません
第一種換気は、給気、排気ともに換気扇で行うものです。
第二種と第三種については室内の気圧を利用した換気方法であることから、例えばどこかの窓が開いていたりすると計画通り給排気経路の空気を入れ換えてくれません。
第一種換気に関しては、計画換気の経路は通りませんが、強制的に空気を出し入れしておりますので換気扇廻りの空気は移動してくれるような状態になります。
さて、今はイメージをしやすいように窓をあけましたが、
気密がとれていないと言うことは、小さな窓が開いているのとほぼ同じ解釈になります
もっと悪いのはその隙間がどこかしこに存在してしまうと、排気用の換気扇を回して換気をしようとしても、入れ替わるのは換気扇の廻りの空気だけです
これでは折角経路も計算して空気の流れを設計したのに全く換気が出来ません
隙間があるなら換気扇で換気できなくても大丈夫じゃないのかと言われると、確かにそうかもしれません
歴史的建造物のように、冬でも通風を取っているような状態の建物であれば、空気が停滞して人体に被害を出すということは考えにくいでしょう。
そういった建物は通風をすることによって構造材の保護もしておりますので、一石二鳥かも知れませんね
ただし、その場合は相応の隙間が必要になってくるため、冬場の寒さや、夏場の暑さについては堪え忍ぶ覚悟をしなくてはなりません。
ここまでお話をして何なのですが、
気密の数値は高ければそれでOKと言うことではありません
数値だけを追いかけるのであれば、気密用部材や性能の安定した吹き込み断熱材など、使いさえすればそうなるというような商品を使えばそれ相応の数値まで引き上げることが出来るでしょう。
そこに意味がないわけではありませんが、結局のところC値は「建物全体」を通した隙間の大きさであるため、局所的に隙間の多い、気密のとれていない部屋や箇所があるとなると、数値はよくても「快適」や「健康」には結びつきません。
家全体を通して緻密な計画が必要だということです
また、気密工事は決して簡単な工事ではなく、現場監督者と現場施工者の高いスキルと経験、また高い意識と丁寧な仕事が要求されます
気密工事をすれば、気密住宅になるわけではありませんので、その部分に関して、こだわりがおありであれば注意してください。
「気密工事オプション対応」という様な施工者に気密工事は出来ないと言っても過言ではありません。
以上、長くなりましたが、最後までお付き合いくださりありがとうございました
まだまだお話したいことはたくさんございますが、それはお会いした時に・・・
以上、増田でした
・・・・・・京都・大津市の無添加・自然素材の注文住宅は株式会社棲み家で・・・・・・