



いつもお世話になりまして誠にありがとうございます。
大変な一年となりましたが、本年も変わらず皆様の格別のご厚情を賜りまして、
厚く御礼申し上げます。
新年もどうぞ宜しくお願いいたします。
また、皆様には幸多い新年を迎えられますことを心からお祈り申し上げます。
【営業時間のお知らせ】
誠に勝手ながら、2021年12月28日(火)~2022年1月5日(水)まで休業とさせていただきます。
新年1月6日(木)9:00 より営業いたします。
よろしくお願いいたします。
無添加住宅京都正規代理店 株式会社棲み家 チーフデザイナー 増田 卓斗
・・・・・・京都・大津市の無添加・自然素材の注文住宅は株式会社棲み家で・・・・・・
皆さまこんにちは。
株式会社棲み家の増田です。
日ごろから断熱が気密がと口うるさく言う私ですが、
今更ながら初心に立ち戻って「断熱」と「気密」について改めて考えてみました。
余談ですが、そもそもこのようなことを改めて考えるきっかけになったのは、
ある案件で予算の加減でどうしても断熱性能をそれ以上上げられないということがあり、
断熱性を持たずして快適さを上げる方法はあるのかと模索したことが始まりでした。
今更、という感じではありますが。
復習がてら、お読みいただければと思います。
昨今では国からの指針も断熱性能に目を向けたものが多くなっており、
専門家でなくても十分に断熱のことを理解しておられる方が増えてきました。
中には私以上の断熱マニアの方にお会いしたこともあります。
その節は色々と勉強させていただきありがとうございました。
さてその話はさておき、断熱とは何か、です。
断熱というのはわざわざ聞かれると難しく思えてしまいますが、
実は非常になじみ深いもので、皆さま一度が使ったことがあるアレも断熱です。
なんでしょう。
いろいろありますね。
ちなみに断熱のことを知っていたら正解できるというタイプの問題ではありません。
私個人とのシンパシーの問題です。
そうです、布団と答えたあなたは正解です。
個人的に、ですが、私が人生で一番初めに恩恵を受けた断熱効果は布団ではないかと思っています。
それこそこの世に生まれ出て一番初めにくるまれたであろう物がおそらくその布団、と言いますかブランケットといいますか。それだと思うのです。
覚えてないのですけれどもね。
布団といえばあったかいイメージがありますね。
私もあります。夏は暑いですね。
でも布団ってあったかいものなのでしょうか。
例えば冷蔵庫に布団を入れておけばどうなるでしょうか。
もちろん冷たくなりますよね。
いや、でもスープも冷蔵庫に入れたら冷たくなる。
これでは「布団って実は暖かくないんですよ」というには弱いですね。
では氷を冷蔵庫から出して布団にくるむとどうなるでしょうか。
そうです。濡れます。溶けて。
いえ、違います。
違わなくはないのですが、そういうことが言いたいのではありません。
普通にテーブルの上に置いてある氷と布団にくるまれている氷ではどちらが溶けるのが早いでしょうか。
「そりゃあ布団の方でしょう。何せ布団はあったかいのだから。」
と、思われる方って少ないんじゃないでしょうか。
正解はテーブルの上に置いてある氷の方が解けるのが早いです。
実は布団ってそのものが温かいのではないのですね。
じゃあなぜ布団は暖かいのでしょうか。
暖かさの原因は私たち人から発生する熱エネルギー、つまり体温ですね。
この体温を布団の外に漏れにくいように布団をかけて体温が冷えすぎないようにして寝るのです。
これが、私が一番身近だと思う断熱です。
代替のことは布団に置き換えれば「断熱」という言葉を言い表せます。
なにせ、例えではなくそのものですから。
つまり「断熱をする」というのは「家を布団でくるむ」ことで「断熱性能」とはこの布団の性能のことですね。
さてお布団のお話を続けましょう。
お布団が薄くても、冬場部屋の中でストーブをつけて室温を上げたら十分暖かくして寝られるよ?なんなら布団かけてたら熱いくらい。
ということは家の断熱性能が優れていなくても冷暖房をハイパワーでかけ続けたら十分快適なんじゃないの?
正解のようで惜しいです。
理屈上は熱源から発生したエネルギーが十分に部屋の中を満たしてくれればいいわけですから、室温を得るのに断熱性は必須ではありません。
じゃあ断熱性能を追い求めるよりも快適性を追求するならエアコンのパワーを気にしたほうがいいのか。
昔はそうでした。
断熱性能という考え方がまだ未成熟だったころは熱源のパワーにばかり目を向けていた時代はあります。
ですが、冷え性の方などはお分かりかもしれませんが、エアコンで室温を何とかしてあげる、ということをすると顔の当たりばかり暑くて足元が寒くなることはないですか?
暖かい空気は上に、冷たい空気は下にというのが物理法則ですから、一見断熱性能とは関係がないように思えるのですが、断熱性能が低いほうがこの現象は顕著に出ます。
理由は簡単で、常に新鮮な冷たい空気が部屋の中に供給され続けるからです。
冬を例にとってお話しすると、断熱性能が低いということは温めた空気の数%は常にまた冷たい空気へと姿を変え続けるわけですから、部屋の中に同時に存在する「暖かい空気」と「冷たい空気」の温度差が断熱性能が高い空間よりも開きがあるわけです。
その分、顕著に上下に分かれやすくなり、また空気の移動が発生して隙間風のような吹きおろしが発生しるわけです。
できる対策としては暖房を入れながら暖かい空気と冷たい空気が混ざり合うように扇風機を回すことです。
攪拌さえしておけば空気が上下に分かれることはありません。
ドレッシングの水分・油分と一緒ですね。
つまり、断熱性能が低いといくら熱源にパワーがあったとしても温度差が生まれ、大きな空間になればなるほど不快感が募ります。
また、エアコンやストーブのつけすぎは過乾燥や、逆に過湿によるカビの問題を誘発するので、快適性とは違う観点で非常によくありません。
聞き方からして答えはNoなのですが、意外に聞かれることがある質問です。
断熱性能があれば気密性能はそんなに重要じゃないのではないのか。
もしくは気密の性能は測ったことがないけれど断熱性能が十分にあるのでうちの家は快適です。と仰る住宅会社様もあるようです。
答えは言ってしまいましたが、棲み家では断熱性能だけでは駄目だと考えます。
ではなぜNoなのか。
言い出すと色々ダメで、建物躯体の健康など主題とすることもできますが話がずれるので、今は温度的快適性においてダメな点をお話ししようと思います。
簡単に申し上げるなら、先ほどの断熱性能の低い家と同じ理由です。
今度は断熱性があって、温めた空気は冷えにくいので部屋の中において冷たい空気は発生しづらくなりましたが、気密性能が低いということは部屋の中の暖かい空気が冷える速度など全く無関係に、外部の新鮮な冷たい空気が常に家の中に供給されている状態なわけです。
防御力無視です。もうほぼ勝てないです。
「部屋の温度を上げるのなんか諦めて、身体の温度そのものを上げましょう。
冬は鍋がおいしいですね。お風呂も暖かいお湯にしっかりつかれば冬でも暑いくらいに身体が温まります。」
というのはダメです。
温熱環境について国が本気を出してきている背景にはヒートショックによる死者数が無視できなくなってきたからという背景があります。
ヒートショックの一番の原因は暖かいところから急に寒いところに移動した際の血管の収縮による心臓への負担です。
特に多いのが入浴後です。
快適に過ごす以前に、健康でいられなくなってしまいます。
漏気(空気が外に出て行ってしまうこと)による室温低下を、甘く見てはいけないのです。
さて、根本的なところに回帰しますが、気密とは何でしょうか。
気密とは、言い換えると「密閉されていること」です。
家の場合はどうやって密閉すればいいのでしょうか。
また、家とはそもそも密閉しても大丈夫なのでしょうか。
まず家の密閉(以降気密)はどうやってやるのでしょうか。
いろんな方法があります。各社各メーカーによって「よい」と判断しているものも様々です。
では代表的なものを紹介してみます。
気密工事で有名なのが「気密シート」。
これですね、何と言ってもやった感がある。すごく手間もかかりますし、知識や経験も必要ですが、他の気密方法よりもしっかりやればかなりの数値を出すことができるでしょう。
また、どの断熱材に対しても施工が可能で追加の気密工事としても活躍しています。
「できるやつは必ずやってる」的な立ち位置ですね。
「耳付き断熱材」
こちらは断熱方法といいますか、優れもの商品のジャンルなのですが、
繊維質の断熱材はビニールの袋に入っていて、ただそれを壁の中に入れるだけでは気密性能がありませんが、
この耳付き断熱材には断熱材の室内側に当たる部分に気密シートが装着されており、
この断熱材を適切に構造躯体に留め付けるだけで断熱部分に対する気密施工も同時に完了する優れものなわけです。
でもこれだけですべての気密が完璧に施工されていると思ってしまうのは非常に危険です。
住宅は定尺の商品が求める寸法の部分ばかりではありません。
また、おさまりの難しいところや床、天井、屋根といった部分部分でも寸法や部材の並びが違います。
これらのすべてに対応できるほど商品の寸法レパートリーがないため、部分によっては断熱材に付属されるシートをあきらめて気密シートで気密を取る方法を取った方がいいでしょう。
この辺りは知識と経験に属する部分です。
なかなか工務店の方でもすべてについてスッと答えられる方は少なかったりします。
「吹付断熱材」
こちらも気密方法というわけではなく断熱材の種類なのですが、ウレタンフォームなどを現場で吹き付けて膨らむタイプの断熱材で、吹き付けた瞬間は小さくて数秒で何倍もの大きさに膨らむものです。
また併せてこの断熱材は空気や水分を通しにくく、ビニール膜のような働きをします。
この性能のおかげで、複雑に入り組む構造躯体の隙間に対してたっぷりと包み込んでくれることから、結果的に気密の性能が得られるということです。
まぁこのように気密施工に関する方法や商品はたくさんあるわけですが、
(ちなみに専門家でも使い方がわからないようなものまで含めるとまだまだあります。)
ではこれらの商品を購入して現場に施工さえしていれば気密工事に関しては安心でしょうか。
もう聞き方からしてだめだと申しているようなものですね。
そうです。それだけではだめです。
ランニングシューズを買っただけで満足して走ってないようなものです。
気密工事に大切なのは適切な計画と施工知識、また漏気が起こるかもしれない場所を先立って気づいて処置ができる経験です。
気密気密と申している工務店はほとんどがこの部分で戦っています。
何をつかっているか、ではなく、何をどうやって使ってるかまで踏み込んでいないと必要な気密数値までは追いつきません。
よくある漏気箇所ですが、コンセントの穴からも外気は入ってきます。
これを完全に近い状態まで隙間を小さくしようと思うと、設計者から職人に及ぶまで気密に対する意識が大切です。
次に、家は密閉しても大丈夫なのか。
というお話ですが、結論出申しますと我々が気密が高いと判断する項目は、
家自体に実際に空いている空気の通り道の大きさ、多さではありません。
家には必ず穴が開いています。
密閉することは法律上許されていないのです。
建築基準法施行令第20条の8や建築基準法施行令第20条の2に記述されていますが、
室内で発生する二酸化炭素や有害物質を計画的に外部に排出し、また外部から新鮮な空気を取り入れることは建築物を称するうえで必須なのです。
わかりやすく申しますと、換気が出来なくて密閉性の高いトイレっていやですよね?
そのように家全体についても計画的に空気が入れ替わる様に計画換気が行われます。
初めに戻りますが、我々が気密を語る際に話題に出す「隙」とは、「計画していない隙間」のことです。
つまり、換気扇は穴が開いている前提で、気密の話の際は無視します。
ですので、真空パックのような、完全に密閉されている空間というものを住宅の中に作り出そうとしている工務店は存在せず、密閉しても大丈夫なのかという質問に対しては、結論から申しますと「必要な穴は開いているので大丈夫ですよ」というお答えになります。
「では気密になっていないではないか。」
と、頂きそうなものです。
そこから熱は逃げないの?
と思われるかもしれません。
もちろん、逃げます!
という状況で寒くなったり熱くなったりしないように措置する方法についてはまた改めて別の内容として記述させていただきます。(ヒントは熱交換です。)
稀にお聞きする質問なのですが、気密性能がないってものでも断熱性能がしっかりしていれば大丈夫なのか。
ダメ、とは申しませんが、やはり気密性能が取れていないと温度差は生まれやすくなりますし、温度差が生まれると気流の発生が懸念されます。
断熱性能が高い分、漏気している箇所の温度差は著しいものとなり、よくあるのは上階から冷気が吹きおろしてくる、等不快な思いをすることになるかもしれません、
「じゃあ一いっそう断熱性能もさげて温度差が生まれにくくすれば・・・?」
というのはダメですよ。気流対策に対する方向性は間違っていないですが、本末転倒です。
さて、最後のコンテンツです。
皆様長々とありがとうございました。
必要な話、不要な話、織り交ぜてきましたがこれで最後です。
さて最後は「仕事と私どっちが大事なの?」的なやつです。
そうです。断熱と気密どちらかを選べと言われたら非常に悩んでしまうわけです。
気密性能がなければいくら断熱性能があっても、ある部分から直接外気が入ってくるわけで、いくら断熱をしても一定量は必ずロスが生まれます。ドアを開けながら暖房しているようなものなので、なんとももったいないですね。
とはいえ、断熱性能がなければ気密性能なんて上げてもそもそも何の意味もないのでこれら二つはどちらかを選ぶことなんてできないのです。
と、これでは一般の消費者の方がたどり着く結論と何も変わらないので、
違う見解から一つ。
どちらかを選ぶことはできませんが、どちらを強化するかを選ぶことはできます。
気密の内容について、今回は主に温熱の話に限ってさせて頂きましたが、
気密性能が役に立っている部分は温熱の部分だけではありません。
建物事自体の劣化を防いだり、音漏れを防いだりもしています。
音漏れについては断熱の強化でも行えますので、気密性能について申し上げれば建物の劣化を防ぐ機能が、断熱を強化するだけでは得られません。
また、気密性能が防いでいる劣化、そのなかの一つに断熱材の劣化も含まれますので、気密の性能を上げておくと断熱材がながく効果を発揮し続けることになります。
そんな理由で、どちらか一つを強化するために資金を投入するなら、気密工事にしておいてはいかがでしょうかと、私はお勧めするわけです。
以上、断熱と気密の関係について、今更考えてみたわけです。
皆様こんにちは!!
現場大好き
棲み家 チーフデザイナーの増田です
今回も私のうんちくを載せて行きたいと思いますが、いつものことながら長くなりますので、覚悟の上で挑んでください(笑)
皆様は「C値」という言葉を耳にしたことはおありでしょうか
別の呼び方で「相当隙間面積」とも呼ばれております。
要するに建物に空いているスキマの合計した大きさのことです。
C値は「0.5」「1.9」「5.0」といったように数字で表され、単位は[c㎡/㎡]となります。
建物全体の隙間を建物の大きさで割って数値を出しますので、値は小さい方が「隙間の少ない家」ということになります
ちなみにですが、以前は「C値5.0あれば十分な性能」と位置づけられた時代もありますが、これは現代ではちょっと時代遅れな数値です。
現在の指針値は地域によって違いますが、北海道など寒冷地と呼ばれる地域で2.0、その他の地域では5.0を基準としています。
もちろんこれは最低限の基準値になりますので、「弊社はC値5.0を確保しています!」なんて事を謳っておられる工務店は存在しないでしょう。
大体がもっと小さな数値か、測定をしておられないかのどちらかです。
一般的に耳にされる「高気密住宅」というもので2.0、
R-2000と呼ばれるカナダの住宅性能基準では1.0が指針値となっております。
温熱先進国ドイツの「パッシブハウス」の基準値はなんと0.2です。
弊社最高値は0.25、最低基準値は2.0以下です
さてこのC値ですが、よくこんな事を耳にします。
「わかりにくい!」
ですよね
それはそうですよね
「C値1.0です!よかったですね!」
と言われても、
「あぁ、そうなんですね。よかったんですね…」
としか返答できないですよね
だって床面積1㎡に対して隙間の平面積が1c㎡です。
とか、
建物全体を通して全部の隙間がはがき半枚分の平面積です。
なんて言われても、重要な「快適性」に全く結びつかない・・・
ピンともこない!
私もこの仕事をし出した頃は「C値は2.0で高気密住宅!」くらいにしか捉えていませんでした。
ですが!
それでは気密の大切さも気密工事の大変さも、一切お伝えすることが出来ません!
という事で勉強したのであります。
「温熱」とは、暖かいとか寒いとか、そういう快適性に関することです
分かりやすく、室内の暖かさを例に気密の重要性を記載していきます。
住宅の漏気(ろうき:家の中から外に漏れていく、及び外から中に入ってくる空気)の量は、
① 室内と室外の温度差
② 外の風速
③ 相当隙間面積(C値)
④ 換気の方法(24時間換気)
によるので、①に関しては細かく言えば家の断熱性能なども係わってきます。
ですので、実際の数字は各建物ごとに大きく違ってくるとは思いますが
例えば、冬場の暖房状態の部屋で、外では比較的よくある強めの風が吹いていて、第一種換気(給気も排気も機械で行う換気方法)を使っている家と想定した場合、
(※24時間換気は1時間に50%の空気が入れ替わるように可動しているとします。)
C値5.0の場合、1時間で2回強、約230%の空気が入れ替わり、
C値2.0の場合、1時間で1回強、約120%の空気が入れ替わり、
C値1.0の場合は、80%、
0.2ともなると1時間で60%未満の空気しか入れ替わりません。
室内外の空気が入れ替わると言うことは、室内の温度も入れ替わることになりますので
(熱交換型の換気扇を使っても温度の中和は起こります。)
C値5.0の場合・・・(1時間で230%の空気が入れ替わる)
1時間の間にハイパワーで一気に20℃まで室温を上げたのに、上がったら窓を全開して一度 外と同じ気温まで冷やし、またハイパワーで20℃まで室温を上げても、また窓を全開して外と同じ気温まで冷やして、そこから10℃くらいまで室温を上げたところで1サイクル・・・
というような感じになります(念の為に申し上げますがイメージです。)
実際には継続して暖め続けていることになるので、壁や天井、床に蓄えられた熱があるので、上記の状況ほど暖房器具に負荷はかからないですが、C値が高いとこれに近しいことを暖房器具は行うことになるわけです。
日々の光熱費、暖房器具の寿命など暖房器具をハイパワーで稼働し続けることによる二次課題(ガスファンヒーターであれば湿度、逆にエアコンであれば乾燥など)を少しでも楽に、快適にしようと思えば気密性は無視できないのです
「解体の時に壁をめくってみるとグラスウールなど袋系の断熱材にカビが生えていて大変なことになっていた。」
実際によくある状態だと思います
おそらくその場合の半分以上が、木材にも目に見えるダメージを受けていたりします
言わずもがな、カビや腐れの大きな原因となったのは水分です
カビの発生にはいくつか条件があります。
・温度
・養分
・湿度
などが大きな要因です。
温度に関しては、壁体内はいかなる温度状況にもなり得ますし、
養分に関しては、当の断熱材や木材そのものが養分となり得、コントロールは不可能です。
湿度に関しても、結露現象が温度差によって起こるのだということならコントロールは不可能な様に見えますが・・・
この湿度、どこから来ていると思いますか?
ほとんどが室内から壁体内に進入した水分なのです
想像してみてください。
家の中で料理をしたり、お風呂に入ったり、そもそも呼吸をするだけでも水蒸気は発生いたします。
その水蒸気が壁体内に入り、冷えた空気に晒されると、結露するのです
これが壁体内結露と言われる現象です。
壁体内結露が発生すると文頭のように壁体内の木材や断熱材に致命的なダメージを与えることがあります。
断熱効果低下の危険
カビの発生による健康被害の危険
断熱効果の低下による一層の壁体内温度差
→更なる結露
壁体内の湿潤化によるシロアリ被害の危険性
湿気による構造材のカビ、腐れ
・・・など、リスクを挙げ出すときりがありません
しかも、壁体内のことなので、室内にいて気づける状態に来たときには、もうかなり進行している状態であることが考えられます
(最近は防かびのクロスなども一般的になってきましたのでより一層壁体内の状態は気づきにくくなっております。)
ここで気密のお話に戻りますが、もうお気づきかも知れませんが、壁体内の結露を防ぐ、または軽減する方法としては室内(生活空間)の湿気を壁体内に入れない=気密性能を上げることが、一番わかりやすく効果的なのです
壁体内の健康を考えるなら、過酷な状況にも耐えうる屈強な断熱材を選ぶ前に、壁体内の環境改善をおすすめしたいのであります。
日本でヒートショック※が原因でなくなられる方は年間約一万人を記録すると言われております。
また、他にも人の健康に気密性が関与することはございまして、計画換気と言われる内容に関係しています。
「24時間換気」と言う言葉を、家造りを検討しておられる方なら聞かれたことがあると思いますが、
これはまさしく「ひとの健康を守る」為の法律なのです
昨今住宅建材や新素材などが流行、流通、一般化する中で、その新しい素材(石油製品やシンナー系接着剤など)に対するアレルギー反応が確認され、数多くの疾患者を出しています。
一般的には「シックハウス症候群」と言われている疾患です
この疾患に対して国が定めた制度が「24時間換気」なのです。
24時間換気の意図としては、2時間に一回、室内の空気が丸ごと外部の空気と入れ替わることで、住宅に使用されている危険な物質(TVOC)を外部に排出、室内の空気環境を保全しようというものです。
正確に2時間に一回入れ替わる事が望ましいので、設計段階では経路の確認や空気の流れ、排気量や給気量の計算をして換気扇の個数と設置場所を決定していきます。
(「法律上どこかに付いていればいいのです」というのは非常に不親切かつ不適切な法解釈ですので気をつけてください)
ですが、実はこの計画換気が計算通りに稼働している建物は非常に少ないのです。
換気方法には3種類あり、
・第一種換気
・第二種換気
・第三種換気
と、それぞれ呼びます。
これら3種類は、換気扇をどこに付けるかにより分類されています。
まず一般的によく使用される第三種換気とは、排気する換気扇だけを設置し、給気をプロペラの付いていない自然換気(給気口)に任せるという内容です。
第二種換気というのはその逆で、給気のみを換気扇で行い排気する部分は排気口が開いているといった内容です。※住宅には基本的に使用しません
第一種換気は、給気、排気ともに換気扇で行うものです。
第二種と第三種については室内の気圧を利用した換気方法であることから、例えばどこかの窓が開いていたりすると計画通り給排気経路の空気を入れ換えてくれません。
第一種換気に関しては、計画換気の経路は通りませんが、強制的に空気を出し入れしておりますので換気扇廻りの空気は移動してくれるような状態になります。
さて、今はイメージをしやすいように窓をあけましたが、
気密がとれていないと言うことは、小さな窓が開いているのとほぼ同じ解釈になります
もっと悪いのはその隙間がどこかしこに存在してしまうと、排気用の換気扇を回して換気をしようとしても、入れ替わるのは換気扇の廻りの空気だけです
これでは折角経路も計算して空気の流れを設計したのに全く換気が出来ません
隙間があるなら換気扇で換気できなくても大丈夫じゃないのかと言われると、確かにそうかもしれません
歴史的建造物のように、冬でも通風を取っているような状態の建物であれば、空気が停滞して人体に被害を出すということは考えにくいでしょう。
そういった建物は通風をすることによって構造材の保護もしておりますので、一石二鳥かも知れませんね
ただし、その場合は相応の隙間が必要になってくるため、冬場の寒さや、夏場の暑さについては堪え忍ぶ覚悟をしなくてはなりません。
ここまでお話をして何なのですが、
気密の数値は高ければそれでOKと言うことではありません
数値だけを追いかけるのであれば、気密用部材や性能の安定した吹き込み断熱材など、使いさえすればそうなるというような商品を使えばそれ相応の数値まで引き上げることが出来るでしょう。
そこに意味がないわけではありませんが、結局のところC値は「建物全体」を通した隙間の大きさであるため、局所的に隙間の多い、気密のとれていない部屋や箇所があるとなると、数値はよくても「快適」や「健康」には結びつきません。
家全体を通して緻密な計画が必要だということです
また、気密工事は決して簡単な工事ではなく、現場監督者と現場施工者の高いスキルと経験、また高い意識と丁寧な仕事が要求されます
気密工事をすれば、気密住宅になるわけではありませんので、その部分に関して、こだわりがおありであれば注意してください。
「気密工事オプション対応」という様な施工者に気密工事は出来ないと言っても過言ではありません。
以上、長くなりましたが、最後までお付き合いくださりありがとうございました
まだまだお話したいことはたくさんございますが、それはお会いした時に・・・
以上、増田でした
・・・・・・京都・大津市の無添加・自然素材の注文住宅は株式会社棲み家で・・・・・・
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のご厚情を賜りまして厚く御礼申し上げます。
本年も「価値ある建物づくりをご提案」出来ますよう、
スタッフ一同尽力してまいりますので何卒宜しくお願い申し上げます。
皆様におかれましては、昨年に引き続き「我慢」の日々となるかもしれませんが、
一刻も早い収束と皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
本年も倍旧のお引き立てのほど、ひとえにお願い申し上げます。
令和三年 元日
無添加住宅京都正規代理店 株式会社棲み家 チーフデザイナー 増田 卓斗
・・・・・・京都・大津市の無添加・自然素材の注文住宅は株式会社棲み家で・・・・・・
いつもお世話になりまして誠にありがとうございます。
大変な一年となりましたが、本年も変わらず皆様の格別のご厚情を賜りまして、
厚く御礼申し上げます。
新年もどうぞ宜しくお願いいたします。
また、皆様には幸多い新年を迎えられますことを心からお祈り申し上げます。
【営業時間のお知らせ】
誠に勝手ながら、2020年12月27日(日)~2021年1月4日(月)まで休業とさせていただきます。
新年1月5日(火)9:00 より営業いたします。
よろしくお願いいたします。
無添加住宅京都正規代理店 株式会社棲み家 チーフデザイナー 増田 卓斗
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皆様こんにちは。棲み家設計の増田です。
今日は最近よく耳にするウィルスと、しっくいの話をさせて頂こうと思います。
皆様はウィルスと漆喰がすぐに結びつきますか?
実は漆喰には抗ウィルス性が備わっています。
各分野に分けて簡単にお話を差し上げようと思います。
1.抗ウィルス性ってなに?
抗ウィルス性と簡単に書きましたが、実際抗ウィルス性とは何のことでしょうか。
通常細菌などによる病気として発生する症状は、細胞が体内に入った異物に対して攻撃を行うために発熱などの形で出てきます。
しかしウィルスによる病気は(多数あるので例外はあるかも知れません)少し違う部分があります。
ウィルスが体に対して悪さをする(異物RNAを生成する)のは細胞の中に潜り込んでからなのです。
細胞からすると、見るからに怪しい何か(細菌)ではなく、
気付いた頃には自分が侵されているような状態なのですね。イメージですが。
抗ウィルス効果というのは、ウィルスが細胞内に潜り込むこの瞬間に、
何らかしらの方法で細胞にとりつくのを防ぐ効果のことを言います。
ウィルスは細胞にとりつく際に突起を伸ばしそこから細胞内に進入しますが、壁を突き破るような暴力的な方法ではなく、偽のIDカードを使って進入するような方法をとります。
なので、ウィルスといえどどの細胞に対してもとりつくことが出来ると言うわけではないのです。
抗ウィルス効果①
ワクチンなどの抗ウィルス剤は、この偽のIDカードを感知し撃退します。
余談ではありますがインフルエンザウィルスに対してワクチンが万全でないのは、インフルエンザウイルスが多種にわたるの偽のIDカードを生成するため、感知できるものと違う偽IDを持つウィルスは撃退が出来ないからです。
インフルエンザウィルスは増殖スピードが速く、その際にかなり不安定なコピーを生成してしまうことがあります。
これを変異と呼ぶのですが、この不安定なはずのコピーが環境に適合してそのまま今までと違う形をコピーして増殖した時、「新型」と言われるIDカードが産まれるのです。
抗ウィルス効果②
カテキンなどの成分に代表される抗ウィルス効果のメカニズムとしては、先ほどお話し差し上げた突起の部分を丸ごとカテキンの成分で覆ってしまうものです。
IDカードではたとえづらくなりますが、無理矢理申し上げるなら特定の、ではなく全てのIDカードが物理的に機械に通らないようにすると言うことです。
通常の酸素などは、この状態でも細胞まで届きますのでご安心ください。
さて、前述した二つの抗ウィルス効果と今回主題にさせて頂いた漆喰の持つ抗ウィルス効果はかなり違う点があります。
この違いにより、体内にウィルスが入る前にやっつける事が出来ます。
上述二つの抗ウィルス効果は、どちらも体内に侵入した後の話です。
城壁前の戦いな訳ですね。
ではしっくいはどうやってウィルスに対抗するのか。
一番単純で乱暴な方法ですが、ウィルスを殺す、活動停止させる事によって抗ウィルス効果の名を冠しています。
漆喰の成分(PH値)はかなり強力な値を示しますので、生物にとって毒になる可能性があります。
ですので、しっくいは城壁前の戦いには参加出来ません。ゴジラみたいに城壁ごと壊してしまう可能性があるからですね。
なので国境の外で敵戦力の撃滅に励んでもらうのが漆喰の役割になります。
室内などに付着、残留したウィルスを触れている箇所に関して死滅させてくれるので、
ウィルス感染へのリスクをかなり下げてくれるわけですね。
ワクチンなどと違い、新種であるかどうかや、ウィルスの持つ弱点や対抗に関係せず作用してくれるのが優秀な点です。
「消毒」と現されることもあるくらい、まさしく強行手段となりますが、
性質上、どうしても「予防策」としか成り得ず、体内に侵入した後は前述二つの方法によって対抗するしかありません。
2.しっくいとウィルスに関する実例
メカニズムについてお話をして参りましたが、
実際にそのように使われた歴史があります。
もう懐かしい話になってしまいましたが、「鳥インフルエンザ」や「口蹄疫」という事件を覚えておいででしょうか。
鳥インフルエンザは2007年等、
口蹄疫は2009年、いずれも宮崎県で発生した伝染病です。
http://www.asahi.com/special/10004/SEB201101240005.html
http://www.asahi.com/special/kouteieki/SEB201006010002.html
記事にも書かれているとおり、
その際にも漆喰の原材料となる石灰がたくさん小屋などに散布されました。
その後の効果などについては触れておりませんが、一定の効果があるものと見受けられます。
石灰は強アルカリであると言うことが消毒効果に繋がります。
なので使用環境を間違えると中和してしまい消毒効果を失うこともあるようです。
さすがに「万能」という訳にはいかないようですが、実績はこれで確認が出来ますね。
3.なぜ漆喰には抗ウィルス性が備わっているのか
なぜ、というより、どのようにして、という説明になりますが、
先にも少しお話したとおり、漆喰の成分はかなり強力なアルカリ性です。
これを強アルカリ性といい、PHで現される数値は12以上です。
例えばこの強アルカリの状態の漆喰(塗る前に水と混ざっているの状態の時)に人の手で触るとどうなるか。
荒れます。ひどい場合はただれを起こすこともあります。
酸はタンパク質を溶かすというのはなんとなく皆様もイメージに難しくないのではないかと思いますが、実は酸による加水分解よりもアルカリによる加水分解の方が強いのです。
詳しい話は脱線の一途をたどりますので致しませんが、生物、細菌、ウィルス共に強アルカリという環境の元では活動が出来なくなるのです。
ウィルスを死滅させる程のポテンシャルを見せる漆喰(石灰)が、なぜ予防策にしか成り得ないのかというと、この強アルカリが身体の粘膜やタンパク質をも攻撃してしまうからです。
先ほど消毒という言葉を出しましたが、消毒液も殺菌、殺ウィルス性を持ちますが、これは人間にとっても有害なため、消毒液は決して体内に入れてはいけません。
ちなみに消毒用のアルコールにもおおよそ身体にダメージを与える何かが混入されていますので、絶対に体内にはいれないで下さい。
4.私たちの生活への活用は?
さて、ながながと分かりにくいお話を続けてきましたが、
ここまででわかったことを少しまとめますと、
・ウィルス感染への対抗策として漆喰のもつ強アルカリ性は頼りになる
・しっくいが作用してくれるのは身体へウィルスが侵入する前段階
確かなのはこの二つですね。
活用の方法として提案できるのは、
空気の通り道になる場所をしっくいの強アルカリで空気洗浄する。
→部屋の仕上げを漆喰塗りにする
→生活範囲の近くに石灰を詰めた袋などを置く
身体に影響の出ない距離を保って肌身に触れず持ち歩く
→石灰成分を含むシートが市販されているようです。これをマスクに仕込むなどすれば対抗の策にはなるかも知れません。※用途に対して安全の確認された物をご使用ください。
接触感染のルートになりそうな所に配置する。
→部屋の壁などもその一部ですね。
→ドアノブなどに設置する石灰混入のシートなども市販されているようです。
職場や店舗など、自身の注意だけでは予防策を万全にとれない場所などに設置するといいかも知れません。※用途に対して安全の確認された者をご使用ください。
以上、小さな事ですが少しでもお役に立てればと、稚拙な知識ながら書き殴ってみました。
とは申しますものの、確実な予防策は何よりも適切な方法による手洗いうがい、不要な外出や人と会う機会を見直すことです。
なかなか難しい立場の方もおられることとは存じますが、何卒皆様ご注意をなさって頂けましたらと存じますと共に、一刻も早い事態の急速を願っております。
株式会社棲み家 チーフデザイナー 増田 卓斗